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俺の行動を見越してかすぐに距離をとった彼女は冷然とした瞳で自分のことを見つめてくる。
その物言わぬ視線に耐えかね、僅かにあらぬ方を見やる。
すると、クスクスと忍び笑いが耳に飛び込んできた。
「そんなに怖がらなくてもいいんじゃない?私は貴方に危害を加えるつもりなんてさらさら無いんだから」
「…?危害は加えない?」
「ええ、そうよ」
少女はさも当然と言うように肩をすくめる。
「私だって、無関係の人たちを巻き込んで喜ぶような下卑た趣味は持ち合わせてないもの。そんな可能性のある場所で暴れたりなんかしないわよ」
その言葉に我知らず息をついた。
それ程までに本能は恐れていたのだ。この、目の前にいる少女のことを。
「あぁ、でも夜になれば話は別だけどね」
「…!」
「プッ、何を驚いてるの?」
「だ、だって…!」
「当たり前じゃない。だって…」
私は絶対に許さないからーー
俺はその声をどこか他人事のように聞いていた
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