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「おっ、お嬢様!」
女中の村田がノックもなしに部屋に転がり込んできた
「どうかされたんですか?顔色が悪いですわよ」
「おっ、落ち着いて聞いて下さいましっ!」
村田を気遣う小夜の両腕を引っ掴み、噛みつきそうな勢いで叫ぶ
「むっ、村田さんも落ち着いて?」
スーハーと何度も深呼吸し、おほんと咳をすると、村田は小夜を真正面から見据え口を開いた
「駿河様が………虎太郎様が、お父様とご一緒に亡くなりました」
「え───?」
村田に言われている言葉の意味が、小夜には全く理解出来なかった
「虎太郎様のお父様がクビになさった元従業員の男に、刺されたそうです」
「嘘………」
「お嬢様、お気持ちは分かります」
「嘘よ…。そんなの………」
小夜の頬が引きつる
言葉が出てこない
嘘に決まってる
「お、お嬢様!」
村田の腕を振り払い、小夜は虎太郎の屋敷へと走り出した
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