デートじゃない!( 後編 )

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  「……トールがいけずばっかり言うから、寂しいな~」  唇を尖らせ、まんま拗ねてる顔をしてるワンコを見た俺は、言われたことに対して口を閉ざした。  このまま車を走らせていれば、ワンコの拗ねてそうな空気もそのうち変わるだろう。  ……たぶん。  暫く車を走らせて、家の近所にあるレンタルショップまで戻ってきた。  まあ、近所と言っても……原付、もしくは車で10分以上はかかる。  ……田舎万歳。  車を停め、あれから口を閉ざしたワンコの様子を伺った。  走らせてるうちに機嫌が上向くと思ってた俺の予想は、どうやら外れたみたいで……今度はまったく話さなくなってしまっていた。  俺の中じゃ、「レンタルショップ楽しみっ!」くらいは言い出すと思ってたんだけどなー。 「ワンコ。まだ拗ねてんの?」 「待ってた……」 「え……?」  拗ねてるのかって問いに対して、意味分かんないことを……。  何を待ってたんだ……? 「トールのばか……ボクが寂しいって言ったのに何も言ってくんないから、待ちくたびれちゃったよぅ!」 「……まだその話で止まってたのかよ。ったく、馬鹿言ってないで行くぞ」  聞いて呆れる。  無言が続いた車内で、ずっと同じ話題の俺の言葉待ちなんて……馬鹿はどっちだ。  俺は、黙ってれば自然とその話題が終わるものだと思ってたのに。 「あっ、待って!」  先に車を降りると、ワンコは慌ててシートベルトを外して降りた。  そこから、さらに急いで俺の横にまで来ると笑みを浮かべる。 「トールにね、一緒に見て欲しいのがあるんだぁ」 「……あ、そう」  忙しなく変化する表情に、今の拗ねてそうなものは見当たらない。  やっぱり、機嫌直ってんじゃん。  しかも、急げといわんばかりに俺の手を引くほど……楽しそう。  
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