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事件です。
俺からすれば、一大事です。
秋風が気持ち良いはずの部屋で、ソファに座る俺は頭を抱えております。
起きたら、裸の男が横にいて、俺の服を貸してくれと言うものだから、貸してやりました。
男の身長は、俺と変わらない。
身長、一七八センチほどの俺と変わらないせいで、蛙プリントのロンTは、奴にピッタリだった。
下にスウェットをはいた奴が俺の横で鼻歌を口ずさみながら、ご機嫌で座ってます。
二人掛けのソファで、並ぶ男の図に頭が更に痛くなる気がした。
「つまり、お前は化け猫だな」
「そうそう。鮫島徹くんは、人間だね~」
「…………」
上機嫌な化け猫野郎めが、俺を横目にクスリと笑いやがる。
額を覆う手を退けて、見なきゃ良かったと心底思った。
「どうして、裸だ。俺まで」
「ありのーままのーすがた見せるのよー」
どこかで聞いた歌詞を口ずさんだ猫野郎。
まじで、ぶん殴りたい。
だけど、触りたくないのが本音で、それが勝って手が出ない。
「…………何もしてねぇし、ヤッてねぇよな?」
重大なので、俺は再度、額と目を手で覆った。
返ってくる返事が怖い。
コイツは、ただの男じゃねぇんだ。
化け猫なんだっ!
「やだなぁ。いくらボクでも、寝込みを襲うような趣味はないよう」
「…………だよな」
ホッと、少し安心した。
危うく俺の何かが終わりを告げるとこだったんだ。
本当に何もなくて良かったー。
でも、安心なんてのは一瞬だ。
何故なら、問題はそこだけじゃあない。
「寝込みじゃなかったら、襲うのか……?」
恐る恐る、俺は目を覆う手を退けて横を見る。
「そういうのを御希望なわけ?」
「んなわけねーだろっ」
俺で遊ぶような笑みを見せてきたソイツは、余裕だ。
俺をからかえるほどに、余裕しか見えないから腹が立つ。
だが、それよりも……その余裕からこの部屋を出ない意思が見えてるせいで、俺は少なからず焦っていた。
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