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沙英子は不安な気持ちを抱えていました。
「千佳子さんはいい加減な人じゃないし、オープニングには必ず行くと言っていたわ。
今朝から全く連絡がないなんて考えられない…… 」
フロントへと向かう足も急ぎ足になります。
すると、ロビーの手前で沙英子を呼び止める男性の声が聞こえました。
「久留間先生! 」
沙英子は声の主を見つけると、自分から駆け寄ります。
「神楽さん!
ちょうど良かったわ!
奥様は?
千佳子さんは何処にいらっしゃいます? 」
「久留間先生、家内がお誘いしておきながら誠に申し訳ない。
実は今朝家内から連絡が入りまして……トラブルがあった為に、オープニングには来ることができなかったんです。
先生がいらっしゃっていると言うのに、本当に申し訳ありません。
……この通りです」
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