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「小松さん、そのウミガメのサインを送ってくる犯人の目星は付いているんですか? 」
裕輔が小松にそんな質問をすると、小松はカフェのテーブルに肘をついて両手に顎を乗せたポーズのまま、口だけ動かしました。
「そんなに都合良く目星が付いているんだったら、こんな島まで事情を聞きに来たりしませんよ」
「つまり、オーナーの神楽さんに脅迫に纏わる諸事情があるのかを聞きに来た訳ですね」
裕輔が続けて質問をしても、小松は興味がないように同じポーズのままです。
「ところが、こんな遠くの島まで来たのに、肝心のオーナーがゲストの対応で忙しくて夜まで待ってくれと言うもんだからね。
こうして待ってるって訳でしてね。
え?警部?
知りませんよ。
あの人は綺麗な島に感動してたから、散歩でもしてるんじゃないですか?
あーあ。
せっかく一人で手柄を立てようと思ったのに。
風呂でも入ってくるかなぁ」
小松の言葉はだんだんと独り言になっていました。
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