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「ああ、刑事さん!
こんなところに居たんですか! 」
ホテルのフロントにいた若いホテルマンが、突然血相を変えてカフェに入って来たので、裕輔も雅美も驚いて振り返ります。
「大変なんですよ!
刑事さん、ちょっといらしてください」
小松の側まで来たホテルマンは、周りの客を気にして声のトーンは落としていますが、押し殺した声のまま強い口調で話しかけていることから、余程のことがあったのだと雅美は一瞬の内に理解していました。
ところが当の小松はと言えば、切迫したホテルマンの様子に気が付いていないのか、腑抜けたような表情のまま面倒臭そうに立ち上がります。
「ここで仕事していたんですから、急かさないでくださいよ。
どうせ、またあれでしょ?
警部が探してるって言うんでしょ?
サボってた訳じゃないですからね、そこのところは間違って伝えてもらっちゃ困……
ちょっと、ちょっと、引っ張らないでよ。
公務執行妨害で捕まえちゃうよ」
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