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小松が元気良く遊歩道を進んで行こうとすると、ホテルマンが後ろを振り向いて小松に人差し指を振って見せます。
「刑事さん、甘いですよ。
この森には大蛙がウヨウヨいます。
森の番人と呼ばれている蛙ときたら、あのレプリカなんかより大きいんですよ」
それを聞いた小松は、急に足元をキョロキョロと見ながら道の中央に移動しました。
「……尤も、私も見たことはありませんので、真偽の程は定かではありませんが」
ホテルマンの最後の言葉は聞こえなかったようで、小松は草木がガサガサ音を立てる度に「ひぇ」とか「うぉ」と変な声を発しています。
森の奥からは『ぐぇ』『ぐぁああ』と小松の声に応答するかのような鳴き声が聞こえてきました。
「お、おい。
君!ええっと……名前は何て言うんだ? 」
小松が前を歩くホテルマンに声を掛けると、
「金橋です…… 」
と、振り返りもしないまま返答が返ってきました。
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