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時の女神の娘は生まれた時、その体から美しい光を放ち現れた。
光は一族の心を幸福に充たし、成長していく今も柔らかく、透明に放たれている。
頃は昼下がり、時の女神の館の中でも特に日当たりのいい部屋のベランダで、3、4歳の女の子が眠りから覚めようとしていた。
柔らかいクッションをいくつも寄せ集めた寝床の上で、あくびとのびをしながら、まだ半分眠っているような目で辺りを見回す。
「もうお目覚めですか? 姫様」
聞き慣れた優しい声がする。
「サーラ・・・・・」
少し心細そうな声が聞いた。
「おかあちゃまは?」
サーラと呼ばれたまだ若い世話役は優しく笑い、着替えを手にしゃがんだ。
「お仕事に行ってらっしゃいますよ。もう少しすればお戻りになられます」
両手を上に、万歳して着替えさせてもらいながら、姫は口をとがらせる。
「仕方ないですわ、姫様。お母様は大切なお仕事をされておいでなのですもの。姫様もずいぶんと大きくなられたから、このサーラがお世話するようになったのだし・・・・・」
「しってるもんっ」
大きな目がだんだん潤んではくるが、口はまるで泣くもんかと言わんばかりにへの字に結ばれる。
しかしその様子でさえ可愛らしいから、つい笑ってしまう。
「姫様、お庭に出ましょう。さきほどお池で魚がはねてましたよ」
「ほんと!?」
どうやら母の不在から気をそらせる事に成功したようだった。
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