消しゴム

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数日前の朝、風紀委員の俺は挨拶運動の為に早く登校していたのだが、その道中に変なおっさんから青い消しゴムを貰った。 おっさんが言うには、その消しゴムで文字を消せば、その物や人何でも消える。 だが、その代償に消しゴムを使った人間の記憶が一部消える。 なんて馬鹿らしい、そんな訳あるはずないじゃないか、そう思っていたが違った。 消しゴムを貰った当日に嫌いな教師の名前を消してみた、すると消えてしまった。 そして誰もその教師の事を覚えていなかったのだ。 便利な物を手に入れた、これで邪魔な物を色々消せる、記憶なんて沢山ある、その中のいくつかが消えても困りはしないだろう。 俺は神になった気がした。 ふと窓から外を見てみれば、半年前に付き合っていた彼女が同じクラスの桜田と歩いていた。 そういえば先週から付き合い始めたと噂で聞いた。 「気に入らないな」 俺は桜田の名前を書いて消した。 「お、村上」 声がした廊下の方に顔をやると担任がプリントを振りながら、こちらに近寄ってきた。 「悪いが、図書委員と風紀委員の生徒の名前が逆になってるんだが、書き直しておいてくれないか?」 「いいですよ」 何かを忘れてるような気がしたが、特に気にせず俺は青い消しゴムで図書委員の欄にある自分の名前を消した。
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