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「も、やだぁ……!」
何もかも異常だ。あの優しかった先輩が俺のことを好きで、今、鋏で俺を傷つけてる。わけわかんなくなって、気が付けば涙がこぼれてた。
びくっ、と震えて鋏が止まった。
「……あ、」
先輩は何かまずいことをしてしまったような顔をして目を逸らす。
俺の泣き顔がみたいとか言ってたくせに。
そして手が止まったせいか、一回収まったあのズキズキとした痛みがまた襲ってきた。
「いてぇ、よ」
「うん、包帯……持ってくるから。ごめん」
先輩は早口でそう言ってベッドから降りると、ふらふらしながら部屋を出て行った。
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