高橋くんの逃走

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この人、佐藤先輩を知ってる? あー痛い・・・・・・考えるの無理ー 先輩(らしき人)の肩を借り、フラフラしながら促されるままに歩く。 「うっし。ただいま帰りましたよっと」 見知らぬ先輩の家は、思いの外近かった。 「一軒、家……?」 「んー、実家だけどほぼ俺の家だな。親は姉貴連れて海の向こう。だから気にすんな~」 よくわからんがそういうことらしい。 家に入ると、そのままリビングのソファーに転がされた。 「いでっ!?」 「はい服脱げ。消毒すっから」 「いや、でも、」 「ぐちゃぐちゃ言うなって、ほらもう脱がすぞ」 「ちょっと先輩!!」 なんでこんな知らない先輩に服を脱がせられなきゃいけないんだ、絶対嫌だぞ。 「いいからいいから」 軽い調子で言っているが、その割には力が強い。 「いや、だってば……!」 あまりにも俺が抵抗するからか、先輩の力もどんどん強くなる。イラついているのか、軽く舌打ちをした瞬間 ―――ピーンポーン 間の抜けたチャイムが鳴った。
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