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「え、と・・・・・・大丈夫っすか?なんかその、大分エグい感じになっちゃってるけど、それ」
首かしげて「メッタ刺し?」とか言うのやめて。ホント、傷痛くなってきた……
「ぼさっとすんなよミナミ、さっさとそいつ連れてこい」
「あ、はい!」
めっちゃ嬉しそうだな。舎弟……?
あらかた俺の手当てが終わって、分かったことがあった。
どうやらこのミナミ(たぶん俺より年下)は白野という先輩の舎弟のようなものらしい。白野先輩は佐藤先輩と友達で、そのつながりで俺のことを知っていたそうだ。
「だってさーあいつ、物とか人とかに全然執着しないのに、お前のことだけはやたら気にかけてたんだよ。ミナミ、麦茶」
「はい、切れそうなんで作り置きしておきますね」
「はぁ……」
「だから覚えてたんだよ。最近どうも調子悪そうだと思ったら……」
白野先輩は麦茶を一口飲んでから大きくため息をついた。
「具合悪そう?」
あの嬉々として鋏を振り下ろす佐藤先輩を具合悪そうで済ますなんて……白野先輩、何者?変な人?
「なんだその顔は。殴るか?」
あの目付きにさらされて後ずさると、ミナミ君が「まぁまぁ」みたいな顔して台所から戻ってきた……嫁か。
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