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「それにしても佐藤さん?は、なんか今時珍しいぐらいのヤンデレっすね~」
「この調子だとここも危ないかもなぁ」
なにこの敵から逃げる人たちの会話。ここは隠れ家ですか?
レジスタンスな気分を味わっていると、ミナミ君が真剣な表情で言った。
「やっぱ、俺はちゃんと佐藤先輩と話した方がいいと思うっす」
「おいおい、こいつの傷みりゃ分かんだろ。対話なんて無駄、無理、無意味」
「……そうすっけど……」
しょんぼりした様子のヤンキー君。だけど、確かにずっとここにいるわけにはいかない。一応大学には行かなきゃいけないし。
「警察に突き出すか?」
「それは駄目です!」
はっ、反射的に言ってしまった。
なんとも言えない沈黙が降りる。駄目だ、なんだこの雰囲気。
「いや、取り調べとかアレですし、一応先輩だから……」
しどろもどろになっていると、それを遮るように白野先輩は俺を見つめた。
「俺だってあいつのことは大事な友達だと思ってる。あいつのことなら結構知ってる……お前に対して異常なほど執着してたのも、な。でも今回は流石にやりすぎだ。たとえあいつがもうお前に手を出さなくなったとして、お前、大学であいつに会っても今までみたいに普通に先輩として見てやれるか?やられたことを、完全に許してやれるか?……
出来ないんだったら、襲われる前にさっさと警察になり突き出したほうがいい」
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