高橋くんの逃走

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「そんな……」 「次は無理心中させられるかもなぁ?」 先輩を警察に?――――なんだかすっきりしない。 「あ、じゃあ白野さんがそういう風に言ってあげればいいんじゃないすか?ついでに一発腹パン入れれば」 怖いこと言わないでよヤンキー君。定まり掛けてた白野先輩のキャラがまた揺らぎ始めたじゃん。 「そりゃ意味ないだろ。てかバーサク状態のあいつの相手はめんどい。こいつふん縛って外に放り出したい気分だ」 警察が一番、なんて薄情なことを言う白野先輩。 「せ、先輩は、佐藤先輩の友達なんでしょ?!」 思わず大きな声を出すと、先輩は方頬で笑った。 「勿論。大事な大事なお友達だ。だけどそれ以上に自分の身が大事なんでね。それにあいつ、やらかしちまったし……」 頭おかしい奴だったんだな、と先輩はつぶやく。俺はなぜかその言葉にカチンときた。 にやにや笑う先輩につかみかかる。傍にいたヤンキー君が驚いた様子で体を羽交い絞めにして止める。 「高橋さん?!ちょっと何しようとしてるんすか!!傷開きますよ!!」 「おー……」 「白野さんも!!こんなことになって混乱してるのは分かりますけど言いすぎですって!!あと一緒に止めてください!!」 「なんだ、腹パンして気絶させればいいのか?」 ぴたり、と暴れていた体が止まった。 「混乱……?」
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