はじまり

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後頭部が微かに痛むのは昨日飲みすぎたせいだろう。彼女の頼む酒は甘いものばかりだったが、度数はかなり高かったらしい。裸の肩は寒く、布団を求めて手を伸ばすと、 ガチッ 「いっ?!」 何だこれ、手が何かで固定されている…?音と手にあたる感触からして手錠だろうと想像がつく。 昨日はこんなマニアックなプレイをした覚えはないし、今日はエイプリールフールでもない。 とにかく、手錠を外さないと。 必死に手錠を外そうと格闘していると、部屋に光が入ってきた。 この部屋の持ち主が帰ってきたようだ。 怒りよりも先に恐怖が湧いてくる。これは絶対誘拐だ。きっとこの後身代金を用意しろと俺の家族を脅して金を待つ間ストレス解消にボコボコにする気なんだ。 妄想の中でアザだらけになっている自分に同情する。頑張れ、俺。 心の中では自分を勇気づけるが、身体は本能に従うらしい。 いや、エロい意味じゃなく。 後ずさるようにして壁に背中を押し付ける。ひんやりとした壁に素肌が触れ、体が跳ねた。 「よく眠れたかな?」
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