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「…………へ?」
凶悪な犯人かと思ったが何のことはない。大学の先輩だった。サークルが同じで、二つ上。成績優秀、容姿端麗、足りないのは浮ついた噂だけ。
「おはよう」
「あ、おはようございます…」
穏やかに笑いながらこちらに向かってくる先輩。
「なかなか起きないから心配したよ」
「はぁ…?」
「一応異常がないかチェックさせてね」
最後に先輩としゃべったのは確か一週間前だったと思う。彼女と昼ご飯食べていた時、
「うわ!!え、先輩?なにしてるんですか?!」
「だって薬とか残ってたら嫌でしょ?」
ぼんやりと考えことをしていた間にベッドに上ってきたらしい先輩は、俺のむき出しの肩をゆっくりと撫でた。
「薬?待ってください先輩、」
「動かないで。わかりにくくなるから」
指を口に突っ込まれた。
息苦しい。
えーと、つまり誘拐の犯人は先輩ってことなのか?こんな風に荒っぽいことをするような人には見えないのに……
口の中を弄られながらそんな風に考えた。先輩の触り方は歯医者みたいな感じで、自分の状況を忘れてた。
「ぉえっ、っ~~~?!」
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