はじまり

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いきなりぐっ、と深く指を(というか手を)口に突っ込まれた。 「まぁめんどくさいから、一回全部吐こうか」 チェックじゃねーじゃんか!! 二日酔いもなり、あっけなく先輩にリバースさせられた。 「おぇえ………」 昨日はほとんど酒しか飲まなかったのが唯一の救いだ。 「じゃあ俺、ごはん作ってくるね」 「いや先輩?!俺ゲロまみれなんですけどっ」 いくらほぼ水とは言え、シャツが張り付く感じは気持ちが悪い。口もゆすぎたいし… 「大丈夫、汚れた高橋君も好きだよ。俺が汚したと思えばなお、ね」 なに言ってるんだこの人。 「いやいや先輩が良くてもですね、俺が駄目なんですよ」 「うーん…じゃあとりあえず脱いだら?後でお風呂入れてあげるから」 「今の俺にどうやって脱げと…?」 そうだ。この手錠!さっさと外してもらわなければ… 俺は改めて先輩を見る。 いつもと同じ、むしろ機嫌がよさそうに見える。犯罪を犯してしまったとか、これから殺そうとか、そういう意識はなさそうだ。 「あの、先輩……なんで俺をさらったんですか?」 なんとなく嫌な予感がするが、これを聞かなければ始まらない。
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