はじまり

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「嫌だな、犯罪者みたいに言わないでよ。俺は高橋君のこと、大方知ってるつもりだけど、まだ知らないことがあるんだ。それを知りたいんだよ。」 先輩、いや先輩。その右手に持った裁ち鋏をナニに使う気なんですか?! 「ふんふふーん♪」 ジャキジャキと。寝間着としては結構気に入ってたTシャツが、切り刻まれていく。先輩によって、愉し気に。 「うん、やっぱり肌をさらしてる方がいいな」 「ひぃっ?!」 先輩は嬉しそうに鋏をカシャンと開いて、よく研がれた刃の部分が肌に触れる。 「?!や、やめてください!!」 「だって脱がせてほしいって言ったのは高橋君だよ?」 脱がせてほしいとはいってない。 だがそれよりも肌に当たってる鋏が怖すぎる。 「どうしようかなぁ…高橋クン、肌白いから赤が映えそうでいいよね」 赤、今その色から連想されるものは1つしか無くて、 「ぃ、嫌だ!!嫌だ嫌だ嫌だ!!!先輩、佐藤先輩!!何かわかないけど謝りますから!」 鋏の刃が首に当たっている。悪い予感は的中したようだった。 「高橋君、」 恐怖のあまり半分パニックになっていると、先輩が俺を宥めるように抱きしめた。 「俺が高橋君を無意味に傷つけるわけないだろう?」
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