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「いや……あれは、百分の一ぐらいはノリで言ったんで、自分でも……よく、分からないんですよ。あ、蒼真さん。二人きりになりたいならシッカリそう伝えましょうね。昼休み、まだ始まったばかりですよ。緋泉さんもそんなに嬉しそうな顔するぐらいならもう二人きりになれるのが嬉しいって言っちゃいましょうよ」
「残りの百分の九十九は何!?」
「二人とも空気読もう!? 今、凄く甘い空気だったよ!?」
天野さんの言葉に、尾崎さんがピンクや赤のバラでも浮かんでそうな満面の笑みを浮かべるという状況での、コント組の介入。
四月一日さんとユキちゃんのやり取りに思わずツッコミを入れて、尾崎さんと天野さんに頭を下げる。
あの少女マンガみたいな甘い空気に、あんな風に水を差す勇気はある意味尊敬する。
見習いたくはないけど。
さっきよりももっと顔を赤くする二人を見ながら、四月一日さんは左手を受け皿にして右手をポンと叩くという古典的すぎる行動をする。
「そうだ、宮沢さん。保健室、行きましょう」
「忘れてたの?!」
「あ、はい。すみません」
またおどおどとしながら頭を下げた四月一日さんを見て、四月一日さんのおどおどモードとからかいモードのスイッチはどこに有るんだろうと思った。
「あ、宮沢さん。気にしないでくれ。沙織の冷やかしには慣れているから。それと宝木君。沙織の場合、残りの九十九もノリだ」
天野さんが僅かに目尻を下げながら言ってきて、慣れてる割には赤面しているような……という疑問を喉の奥に引っ込める。
というか、慣れてるなら慣れてるで少し同情する。
さっきまでは俯いていたから分からなかったけど、こうして正面から見ると、男の娘なユキちゃんと違って、少し綺麗系が入ってるとはいえ正真正銘のイケメンだった。
男子にしてはちょっと長めの黒髪に、健康的な色の肌。
キリッとした切れ長の目は真面目そうで、尾崎さんと並ぶと物凄くお似合い。
背も同級生たちの中ではかなり高く、女子にしては長身な尾崎さんとのバランスも良い。
四月一日さんが尾崎さんの専属王子様と言ったのが、わかる気がした。
「蒼真はんたら何言うてんねん。んな訳」
「ばっ! 沙織、何を!」
ん?
四月一日さんが変なイントネーションで何かを言ってる途中に、尾崎さんがなにやら焦った様子で止めに入った。
辺りを慎重に見回して、安心したようにため息を吐く。
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