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どれ位の刻が経っただろうか…。
伊賀の国境を過ぎた辺りから、次第に山霧が濃くなって来ているようにも感じる。
此処を抜ければ、三河までは後少し。
大きく息を吸い込み、ゆっくりと吐き出した。
何となく視線を感じて足を止めた。
皆もその異様な気配を感じ取ったのか、足を止めて周囲を警戒している。
「…何奴ッ!姿を見せろッ!!」
徳川家きっての猛将本多忠勝が声を張り上げた。
瞬く間に深い霧が辺りを包み、最早、一寸先も見えぬ程になった。
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