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「…仕方が無い奴ぢゃ」という声が聞こえた途端、あれほどの濃い霧が一瞬にして消え去った。
目の前には、男女が一人づつ。
そして、男とも女とも判らぬ者が一人。
奇妙な衣服を着た者達が立っていた。
その姿を見て、漸く思い出した。
「思い出したようぢゃな。秀一。約束の物を持って来たか?」
「…きみまろ殿だったな。しかし…約束の物とは?」
「何だそれすら忘れたのか。おやつぢゃ。お・や・つ」
「…おやつ?」
「そうぢゃ。おやつくれなきゃ…」
「…くれなきゃ…?」
「…おまぃを殺すぞ?」
きみまろの眼が、みるみるうちに色が変わって行った。
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