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「言った通り、俺も先陣に立って皆の為に道を作り、皆の為に平和を作る。皆を悲しませる物をぶち壊してやる、皆が涙する事をなくしてやる。お前ら俺の為に死ね、とは決して言わんし、俺が皆の為に死んでやる。……だから、俺についてこい」
だめ押しの台詞、それにより不信感が募っていた民衆からは、歓喜の叫びが上がった。
『新魔王様万歳! 新魔王様万歳! 』
訓練された様なウェーブと共に、熱気を帯びた歓声。
初めて経験する物ばかりだったが、震える程に心地良く、ここまで上手くいってる事に恐怖すら覚える。
「なかなかの名演説だったな」
後ろからの賛辞に片手を挙げて答え、すると再び歓声が沸き、俺にもオーディエンスを沸かす程度の能力があった事に驚きだった。
「ま、魔王だったらもう少しまともな事が言えなきゃ駄目よね、た、多少良かったとは思うけど」
と、ツンデレリリムが申しておりますが触れない方向で、推して参ります。
その発言に連なる様に各人物が、口を開き始め、これは良くない事が起きる前触れの様な気がする。
「シンタ様、ご立派に御座います……」
顔だけを後ろにむけると、涙をさっとハンカチーフで拭うフィアの姿があり、本当に良い奴だな、改めてそう思う。
「とっころてんっ! とっころてんっ!」
「おめぇはいい加減にしろ!」
いつまでも人の名前で遊びやがって、名前ネタ禁止!
右手を振りながら、心太コールをするリザードに肩パンしといた。
『オオオオオオオ!?』
何故か、どよめく観衆。
お前らも、もう何でも良いんじゃないの?
実はどいつもこいつも、騒ぎたいだけなんじゃないか。
そんな疑問が浮き彫りになる中で、エミルが『そろそろ締めろ』、とアイコンタクトを送ってくる。
確かに、リザードのせいで心太コールパンデミックが起きるのは避けたい。
思い立ったら直ぐ行動をモットーにしている俺は、広場に群がる仲間達へと向き直る。
「同志諸君! 我々が万が一として死ぬ時は同日、同時間、同時である! 以上で、臨時集会は解散とす!」
そう宣言すると、広場を中心とした今日一の雄叫びが、空へ向かって舞い上がった。
俺は、ふぅっと盛大に息を吐き出して、酷い耳鳴りに苛まれた。
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