第1章 ピエロ

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 (この砂時計の砂みたいに海老は途切れなかった。それから学校が海老に埋め尽くされて……。そう、この不思議な砂時計はいくら砂が流れても大丈夫だけど、あの海老は増えたら止められない)  その瞬間、倫太郎は先ほどの夢とも幻覚ともつかない《世界》の意味を悟った。  (もうすぐ、このデパートがなにかにペチャンコにされちゃう!)  その正体はわからなかったが、時間がきたら海老のような《なにか》が際限なく増えるんじゃないか?   そう考えた瞬間、倫太郎は出入り口のドアを目指して走っていた。  「あ! こら! どこ行くの!」  隣の姉が、急に弟が走り出したので慌てて声をかけたが、倫太郎の耳に入らなかった。  得体の知れない恐怖心が彼を駆り立てていたからだ。  
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