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此処は東京都西王子市ある西王子大学付属病院精神科の診察室、鏡石倫太郎(きょうごくりんたろう)は退行催眠の効果で幼き日へと記憶を遡り、かつて目にした悪夢と対峙していた。
倫太郎は制服のブレザーを壁際のハンガーに掛け、ベッドでネクタイを緩めて長椅子に横になっている。
彼が通う市立西王子学園高等部は都内でも指折りの進学校、今年入学した彼は学年で成績が十位の秀才だ。
中肉中背、スポーツが得意というわけではない。
地味な性格の少年で、どこの部にも属さない帰宅部、容貌は母親譲りの色白で二重まぶた、よく見えば整った顔立ちだが目立たない印象だ。
その傍らにいる白衣の女医のハスキーな声が囁く。
「なにが見えますか?」
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