11人が本棚に入れています
本棚に追加
幼稚園の頃から倫太郎には、この《世界》を視て危険を回避した経験がある。
小学生の時は単純に夢だと考え、それをゲームのように考えていたが、中学生になると、
(やべぇ、オレになにが起きているんだ?)
と、怯えて、図書館から心理学の本を借りて幻覚だと解釈していたが――読んだ知識だけで、すべてを知ったつもりでいた中学生の頃とは違い、高校生になってみると、『やっぱり違う』という気になってくる。
十六歳の倫太郎は、《あれが本当に幻覚なのか》と疑っていた。
(あの《世界》で怪我をすれば痛いし、寒さも暑さも感じる。そんな幻があるんだろうか? おまけに未来と繋がっているなんて?)
理性では、《ありえない》とわかっている。
(だけど……)
最初のコメントを投稿しよう!