第1章

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最近ルイにほとんど付きっきりになって、 手を繋いできたり、優しくされちゃうから 私、自惚れてしまっているのかも。 私はルイの特別な人じゃない。 立場わきまえなきゃね。 ルイが美奈さんに衣装を合わせてもらうと、私の元へと戻ってきた。 「深雪、頭をお願い」 厚手のファーがついた革のダウンジャケットで身にまとい、さっきのダッフルより暖かそうな装いになった。 ルイって、本当に着映えする人だ。 ルイが着ているだけで、 服に存在感が出て、センスのあるものに変貌する。 ルイの手足の長さと8頭身の絶妙にバランスのとれた美しい肢体が、 身に付けているファッションを強調してセンスを際立たせる。 さすが元売れっ子モデル。 ルイが身にまとう服は いつも問い合わせが殺到し クライアントの店頭では、入荷待ちの状態が続く。 美奈さんが最近デザイナーデビュー果たした時にはコレクションでルイがモデルを務めた。 ルイはよく個人的に美奈さんから服を買い付けていて ルイのおかげで美奈さんは デビュー出だし絶好調だという。 「ルイさんって、服が変わる度に、格好よくなるからドキドキしちゃう」 私は微笑みながら ロケバスの脇にセッティングした 椅子にルイを座らせた。 「みんながオレを格好良くしてくれるんだよね」 ルイは腕を組みながら、綺麗な顔で はにかんで笑ってみせた。 好き、このルイの表情。。。 つい、いつものように ルイにしばらく見とれながら ルイの髪の毛に触れる。 外の寒さで髪は冷たくそして毛先が絡んでいた。 「ルイさん、毛が細いから絡みやすいね。 とかすけど、痛かったら言ってね」 粗めのクシで毛先にクシを入れていく。 「遠慮しないでガシガシやっちゃっていいよ」 ルイが、瞼を伏せたまま言った。 「ガシガシやったら毛が痛んじゃうんだよ。特にルイさんの髪は細いからダメージ受けやすいんだから」 「そうなんだ? 傷みはいつもの事だから気にしないんだけど あのさ、このプロモ終わったら、髪短くカットしてくれない?」 「短くってどんなスタイル?」 ルイとヘアスタイルの話をしていると マネージャーが割って話に入ってきた。 「外気が湿気多いから しっかり髪固めてくれって、監督から」
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