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「なんで外はこんなに寒いのにルイさんの手はこんなに温かいの?」
ルイに温めてもらう度に、
ルイに惹かれていく自分を自覚してしまう。
胸がギュッと締め付けられる感覚に
苦しさを覚えて
ルイの唇の感触をまた知りたいと思ってしまう。
初めの頃のドキドキが、今は切なさに変わっていて
いつも、ルイを好きな気持ちにセーブをかけてる自分がいる。
ルイの体温がジンワリと指先に伝わってきて、
血が通ってきた。
「深雪がセットしてくれている間、オレの手はポッケにあるカイロと遊んでたから。
深雪の指先が冷たくなってるの見越して温めていたんだよ」
あ。
いつも冷たい手でルイのメークベースのばしちゃうから。
「ルイさんて優しいな」
好きになりすぎて欲張っちゃうよ。
「打算的だよ。 深雪に惚れてもらうために」
ニヤッと笑って形のいい唇から白い歯を覗かせた。
笑顔が爽やかすぎて、打算的にみえない。
ルイは、ジョーダンっで言ってるかもしれないけど、
私はあなたに十分惚れてます。
打算的でも、何でも、これ以上優しくされるのは、辛くなってくるよ。
「ありがとう。
あったまったから、メイクしていくね。」
自分からそっと手を抜いた。
ルイは元ホストでホスト精神おおせいだから
女性が悦ぶ事は熟知してるんだ、きっと。
「深雪、本気で言ってるんだよ?」
私の心を察してか、
ルイの声音が低くなって、艶やかに響いた。
私は息を小さくついて口を開いた。
「私は、すでにルイさんに惚れてます。
ルイさんに惚れない女性なんていないよ。
こんなに素敵なのに」
私は、本心を隠しながら、当たり障りのない口調でメイクをやり進めた。
ルイが急に無言になって黙りこむ。
いつもだったらすぐに会話のキャッチボールがあるのに。
「オレをそう言って持ち上げるの止めてくれる?」
ルイの口調が冷ややかに私を刺した。
普段あまり聞かないルイの低く冷たい声が、
私を動揺させた。
「オレ、フラれてばっかなんだけど」
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