第1章

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映画観る?って訊いたけど、 イヤフォン付けるなら、始めから一人で観るつもりだったんだなと、映画に観入っていくルイの綺麗な横顔を見つめた。 私が見つめている気配に気付いて 1度離された私の手を掴まえて左手に握った。 ルイって。。。 なんで、こんな恋人にするような行為を さりげなくしてしまうんだろう。 もう慣れてしまって 仲本さんも見て見ぬふりしている。 初めの頃のドキドキはなくなったけど こんな様子をヨシが見たら 良くは思わないはず。 だけど 最近 ヨシは ルイの事を詮索しなくなっていた。 ウチに来る頻度も減った。 もしかして、浮気してたりして、と 変な予感が頭を過る。 というのは 私がヨシとシたがらなくなったから。 ヨシが泊まりに来ても 迫られても 拒否る訳ではないけど 乗り気がなくヨシに合わせていたのが 勘づかれてしまったのかも。 ヨシが私に哀しそうな瞳を向ける事が増えた。 自己中な私の態度が ヨシを少しずつ傷つけて 傷口を大きくしてしまったのかもしれない。 そして、呆れて距離を置き始めたのかもしれない。 ヨシに抱かれていて 気持ちが乗らなくなってしまった要因は ルイから言われた 『オレとどっちが好きなの?』 って迫られた事だった。 私は躊躇して戸惑い ルイの言葉になぜか罪悪感を煽られた。 キスを交わしてしまったルイを どう受け入れていいか困惑していた。 どっちが好きか?なんて 曖昧過ぎて、 漠然としすぎて 答えを出せる事じゃない。 答えを出したからって、何かが変わるわけでもない。 私は、ルイとは深い仲にはならない。 そんなつもりで専属を長年夢見ていたわけではなかった。
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