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 クラスのなかで歓声と拍手が沸き起こった。さすがに進駐官養成高校だった。闘いを嫌ったり、避けたするような軟弱な生徒はいない。  ジョージが段ボール箱を陽気に振ると、かさかさと紙の触れあう音が鳴る。 「誰からでもいいよ。さっさと済ませよう。ぼくはこのあと、ダンスの練習があるんだ」  カザンの部下が叫んでいた。 「ふざけるな、菱川。おまえのパートナーはサイコお嬢さまだろうが。調子にのってんじゃねえぞ」  一年生の美男美女のカップルはすでに、学内で話題になっていた。通常ペアダンスの最前列には上級生がずらりと並ぶが、サイコとジョージのペアは最前列で、教職員や貴賓(きひん)席に一番近い右端で踊る予定になっている。 「そうだ、そうだ」 「おまえが佐竹か、後藤に当たれ」
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