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男子クラスでは、女子と接触のある男子への風当たりは強い。罵声(ばせい)には相応の憎しみと嫉妬(しっと)が含まれている。
「じゃあ、おれが最初に引かせてもらう」
相撲部の後藤が立ちあがり、投票箱に手を伸ばした。後藤の巨体の陰に、ジョージとテルが隠れてしまった。後藤は右手を挙(あ)げて叫んだ。
「Cの2番」
黒板に張られた予選の対戦カードの空欄がテルのマーカーで埋められた。Cブロックの初戦は、東島祭初日の午後一でおこなわれる試合だった。
ジョージがいたずらっぽい目でタツオを見ると、声をかけてきた。
「どうだい、タツオ。きみが最初に、こっちの箱から引いてみないか」
夏季運動会で優勝した3組指揮官の大役を立派に果たし、没落したとはいえ元近衛四家出身ということもあり、タツオは教室では一目置かれていた。当人はその特別扱いに、非常な居心地(いごこち)の悪さを感じていたのだが、それも階級と権威に弱い進駐官養成校では、誰も責められないことだった。
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