第54話

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　男子の肉体的な能力は母親の遺伝がおおきいという。進駐官養成高校の女子生徒は成績優秀だけでは尊敬されなかった。運動能力や戦闘技術がなければ、いくら成績がよくても男女ともにダメなのだ。文武両道はこの高校ではあたりまえで、さらにその上にいくには人よりも一段すぐれた専門技能を有している必要があった。進駐官の両親から生まれた子どもは優秀で、また進駐官養成高校に入学してくることが多い。一年生でも学年の４割近くが、親子代々の進駐官である。もちろんタツオもカザンも親子10代以上、女皇に仕える近衛兵(このえへい)の指揮官の家系である。近衛四家の家柄は伊達(だて)ではなかった。

　東島祭まで一週間を切ると、授業も午前中で免除された。学内のあちこちでダンス練習用のビートの効(き)いた音楽が流れ、数十人のジャージ姿の男女が自分たちでつくった振付を覚えるのに夢中になっていた。