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 けれど、1年3組は別な意味で異様な盛り上がりを見せていた。クラス最強が誰であるのか、ジャンルを問わない異種格闘技戦で決定するのだ。クニがとりしきって、賭(か)けも行われている。養成高校の生徒でも、職業進駐官の3分の1程度の給与を日乃元(ひのもと)政府から毎月もらっているので、みな懐(ふところ)には余裕があったのだ。  クニは最新のオッズ票をもって、ほかのクラスの生徒たちまで回り、賭け金を集めていた。 「おい、鳥居(とりい)、どんな様子になってるか見せてみろ」  偉そうに教室の窓際で命令したのは、カザンである。カザンの席は日あたりのいい窓の横の列の一番後ろである。養成高校では近衛四家の生徒にはいくつかの特権が与えられていた。クラスの座席を好きなように選べるのも、そのひとつだ。カザンは自分の班の3人を王将を守る金銀のように、隣りと前方の机に座らせている。
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