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 カザンは目を細め、腕組みをしていった。挑戦的にタツオの目をにらんでくる。 「おれが昔のままだと思ったら大間違いだ。普段の戦場格闘技の授業では使用していない奥の手がある。必殺技だ。そいつを使えば、ここにいる佐竹とだっていい勝負ができるだろう。おれに賭けるなら、今のうちだぞ」  自分がもつ逆島(さかしま)家相伝の体内時間操作術「止水(しすい)」と同じような秘技が、東園寺家にもあるのか。タツオは衝撃を受けていた。東園寺家も逆島家も皇室とともに二千年を優に超える歴史と伝統を誇っている。武の家が門外不出の秘伝をもっていてもおかしくない。  そのとき教室前方の引き戸が開く、からからと乾いた音が鳴った。秋の戸は乾いて軽い。 「みんな、待たせたね」  ジョージとテルだった。それぞれ段ボールでつくられた箱を抱えている。1~4班、5~8班と箱の横には書かれていた。
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