9人が本棚に入れています
本棚に追加
ドキッ・・・。
この男、多分、天然の人たらし。
目を少し三日月に細め、口の端が少し上がり
柔らかく、自分を見つめ、微笑む。
その色気と温もりに歩はただ夏目を見つめ返す。
歩の中で全ての危険信号が一斉に赤ランプに変わり、
警報が鳴り響く。
それでも、コクッと喉を鳴らしてしまうほど、
その笑みに、瞳に心を奪われる。
歩の変化に気付いたのか、
夏目の瞼がピクッとほんの僅か動き、笑みは消える。
夏目は歩に背を向け、立ち上がった。
その瞬間、ようやく、金縛りがとけたように
歩は息をすることができた。
最初のコメントを投稿しよう!