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「申し訳ありませんが、辞退します。
今は他案件で手いっぱい、なので・・・」
オームが赤から青に目を変えるように、
一斉に驚いたような視線に変わる。
歩は藤谷だけを見ていた。
なぜ、と問う藤谷に歩は淡々と答える。
「現在、担当している細かい案件はともかく、
写真集は近々に迫った話です。
打合せや時間調整で歩き回るのに、
私はほぼ毎日、午後の時間を取られます。
どちらも、ここ3か月が勝負です。
ですから、ドームは別の担当者に・・・」
それなら、と藤谷は微笑む。
「写真集は僕に戻す。
僕が時間を取れないときは、別の者を立てればいい。
時間調整は別にして、打ち合わせは立ち会うだけの話。
時間が取れた者がデザイナーに付き合えばいいだけだ。」
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