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「ですが、それではっ・・・」
貴子が、と言いかけて、必死に歩は飲み込む。
友人の名を仕事に出すことなど、あってはならない。
だが、貴子を誰かに任せることなど、歩には考えられない。
ふぅ、と気持ちを落ち着かせ、歩は続ける。
「デザイナーとの契約でそれはできません。
彼女はそもそも、事務所に所属しているプロではありません。
私と部長で引き摺りこんだ素人です。
ですので、最後まで、私が責任を持ちます。」
フッ・・・、と藤谷は失笑する。
「友人として?」
唇を真一文字に引き締め、歩は侮辱に耐える。
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