3/9
前へ
/40ページ
次へ
  「ですが、それではっ・・・」 貴子が、と言いかけて、必死に歩は飲み込む。 友人の名を仕事に出すことなど、あってはならない。 だが、貴子を誰かに任せることなど、歩には考えられない。 ふぅ、と気持ちを落ち着かせ、歩は続ける。 「デザイナーとの契約でそれはできません。 彼女はそもそも、事務所に所属しているプロではありません。 私と部長で引き摺りこんだ素人です。 ですので、最後まで、私が責任を持ちます。」 フッ・・・、と藤谷は失笑する。 「友人として?」 唇を真一文字に引き締め、歩は侮辱に耐える。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加