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  迎えに出てきた男性は二人。 1人は野性的な顔をした、スポーツ刈りの 渋みのある湯川正人(ユカワマサト)。 もう1人は湯川の部下の夏目雄哉(ナツメユウヤ)。 夏目は茶色の柔らかそうな髪を軽くウェーブさせ 高級スーツをカッチリではなく、粋に着こなす感じ。 『うわぁ・・・、苦手・・・』 どちらも見るからにモテそうだ。 その容姿や身なりだけでなく、仕事を完璧にこなす男の自信が 彼らをより魅力的に見せている。 だが、こういう男たちは往々にして 軽薄、と相場は決まっている。 歩は鉄壁のガードと顔にはっきりと営業スマイルを掲げ 挨拶をする。 「馬場園歩です。よろしくお願いします。」 よろしく、と湯川に差し出された手を軽く握り、すぐ離す。 では、と夏目は背を向けた。 「近くの喫茶店に行きましょう。」
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