ニ章 〔結希〕その正体

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3日間〔結希〕は眠り続けた その間に分かったことが3つ 土方は自分の部屋に〔結希〕を寝かせ蘭方医・松本良順を呼んだ 「ひっじかったさ~ん松本先生呼んできましたよ」 「お久さしぶりです先生、こっちです」 「あぁ」 松本先生は急いで部屋へ入っていってしまった 「総司皆にいつもの隊務に戻ってくれと伝えてくれ」 「分かりましたあ、土方さんあの子に手を出さないでくださいよ」 「馬鹿!さっさと戻れ」 「は~い」 言いたい事だけ言って戻って行った 「たく、松本先生失礼します」 「待て!!」 予想外の返答に土方は襖にかけかけた手を止めた 少しすると松本先生の方から襖を開け部屋へ招き入れた すると無言で〔結希〕の枕元へ座った松本先生につられ土方も座ると思いがけない質問が投げつけられた 「この子、いったい何者だ」 「何者、とは」 「まずこの子の性別を知っているのか」 「...男では」 「馬鹿者!!!!」 「!!!」 突然の罵倒に驚き少し目を見開く土方 「彼、いや彼女はおなごだ!!」 「!!そんな分けないでしょう松本先生冗談も大概にしてください」 「なら彼女を見てみなさい」 その言葉に応じ〔結希〕を見ると確かにさらしに巻かれた女の象徴があった 「本当か...」 『だから女みたいと言った俺にお前の目は節穴かと言ったのか...』 「それはまぁいいとして問題はこの子の背にある紋だ」 「紋?」 「天神の眷族の証しの紋だ」 「やはり」 『これでこいつが天神と関わりがあると決まった』 「やはりとは何かこの子と天神の関連を示す物があるのか」 土方はあの手紙を懐から取り出し松本先生に見せた 「これは...」 「この者の所持品と思われる物です」 「紅蓮!!」 「何か気になることでも」 「紅蓮は天神の子だ」 「ならまさかこいつは...」 「おそらくそのまさかだろう」 「しかしなぜ天神の子がこの下界に...」 「...土方これから儂が話す事は他言無用だ」 「...はい」 「天神の子・紅蓮は幕府でも数人の者しか存在を知らんがその一端には紅蓮が唯一運命を変えることの出来る無神の者と呼ぶ者もいる」 「無神の者とは」 「運命を定められていない者を差す2つ名だ運命が定められていない者が他の者の運命を巻き込めば意図せず運命は変わるはずという希望を込め付けられた名だ」 『こいつが居れば俺達の運命も変わるかもしれない』
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