ニ章 〔結希〕その正体

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「やっぱり入隊辞めようかな」 「そんなに飯が大事か」 『こう見るとただの餓鬼なんだがな』 「当たり前だ飯を食わなきゃ人は死すその命の糧の一つが不味かったら話しにならんだろう」 余りにも真面目な顔でそう語る結希 『...意外だなもっと命について軽い考えだと思ったが』 「なにをぼーとしてる土方、馬鹿顔がますだけだから止めとけ」 『...他人の命を軽んじる奴では無いが自分の命は軽んじる奴らしいなぁ』 「次俺にそんなこと言ってみそのロ一生きけないようにしてやる」 「勝算考えてから物言え」 「本当に一々癪に障る奴だなお前」 「...」 「なんだ急に黙って」 「誰か来る」 「あ?あぁ飯が出来たから呼びに来たんだろう」 「炭か...」 「ふっ」 土方は心底嫌そうに呟く結希を見ると笑けてきてしまった 「心配するな今日は平隊士の奴らも手伝ってる食えるぐらいの物ではある筈だ」 「本当だろうな」 「あぁと、少し隠れとけ」 「めんどくさい」 「早く」 「めんどい」 「あーたく」 言う事を聞かない結希を無理やり押し入れに隠すと直ぐに隊士が来た 「副長、夕餉の準備が出来ました」 「悪いが此処に運んで貰えるか今夜中に終わらせたい書類があるんだ」 「分かりました」 ・・・ 「出てきていいぞ」 ガラ 押し入れが開き結希がある物を持って出てきた 春画(工口本)だ 「な!」 「こんなん読むのか..意外と溜まってんだな」 「違うそれは新八と左之から没収したやつだ」 「...」 「絶対信じて無いだろ」 「当たり前だ」 「そんな真顔で言うな」 「副長どうかしましたか」 不意に襖の外から声が聞こえた 「何でもない」 「早く隠れろ」 小声で促す 「やだ」 「大きな声を出すな!!」 「副長今声が聞こえた様な」 「気のせいだ」 「隠れないと飯抜きだぞ!」 「俺を脅すつもりか」 「そんなつもりはない」 「チッ」 嫌々ながら結希が隠れるとすぐに隊士が部屋に入って来た 結希が覗いていることも知らずに... 『!!あいつは桂とこの...』 「土方、あいつは」 「勝手に出て来るなよ...」 土方も結希の異変に気がついた 「あいつか、どうせ長州かどっかの間者だろ」 「知ってたのか」 「あぁ」 「なら何故にほうっておく」 「時を見てんだよ」 「時?」 「あいつは捨て駒だならこっちがどう使ったっていいだろう」 「...」
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