ニ章 〔結希〕その正体

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「見せしめにする気か」 「俺の見立てでは後5人程間者が潜んでる」 「馬鹿だな」 「何?」 「恐怖で組をまとめても長続きしないぞ」 「それぐらい分かってるさだがなぁ烏合の衆を まとめるにはこれしかないんだよ」 「自分の夢の為に自分を殺すのはどうかと思うぜ」 「!!!」 「まぁいいさっさと食うぞあ、俺の分無い」 「俺はいいから食え」 「...ならこれやる」 そういい結希が取り出した物は小さな弁当箱だ 「これは...?」 「俺の非常食」 開けるとそこには今で言う玉子焼きとお浸し、猪肉炒め、梅干し、白飯が入っていた 「こっち食えよ...」 「今日は魚の気分なんだよ、良いから食ってみろ」 ・・・(食ってみた) 「旨い...」 「だろ、ここの飯よりは食えるだろ」 「やっぱり不味いか」 「食えんことはない」 「そらよかった」 「御馳走様~」 「はや!!もう食ったのか」 「ああ、戦場でゆっくり飯なんて食べてられない」 「まぁそれはそうだが」 「俺もう寝るは、疲れた」 そう言って土方が押し入れに隠していた刀をいつの間にか 探し出し、その刀に寄りかかり座ったような形で寝てしまった 「おい、寝るな」 「Zzz...」 「早い、新八並みに早いな」 深夜ー 新選組屯所の屋根に1つの影があった 今日の月は三日月だ 「三日月に、写る人影、寂しげに」 『寂しい...か、』 「あいつと少し話しただけで師匠を思い出すなんて 俺もまだまだだな」 屋根の真下の縁側には結希の1人語を聞く土方の姿があった 「...三日月に、写る人影、苦しげに の間違いだろ」 何故か土方には寂しいと言うより苦しげに見えた
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