三章 壬生狼、狼たちの正体

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進章寺ー 結希の行き先は進章寺だった 「おい、出て来い」 少しすると庭から黒い物体が出て来た 「ミャ~」 黒い子猫だ 結希の足にすり寄って行く 「ほら、食べな」 懐から出したのは朝食の残りだ おいしそうにほうばる子猫 「お前はいつ死ぬんだろうな?」 「もし、明日死ぬ運命だったとして 俺がお前を助けようとしたらお前の死は変わるのか?」 「ミャー?」 『猫に聞いても答えないか』 《こいつが死んだのはお前のせいじゃない》 《でも、俺があいつを生かしたから椎さんは死んだんだ》 《俺は死をただ傍観しているべきなんだ》 《...大切な人が死ぬかもしれない時 それを変えられるのはお前だけだ それなのにただ傍観してるだけでいいのか? 目の前で大切な人が死んで逝くのを見るだけの 辛さに耐えられるのか?》 《なら大切な人をつくらなければいい》 「あの日、決めたんだ」 『運命は変えない、大切な者はつくらない』 「ぐぅぅ~」 「考え事したら腹減ったな じゃあな黒いの」 こうして進章寺を後にした ところ変わって甘味処[仙閣] 「何だと!!不味い甘味出しといてこの俺に銭を払えと?」 仙閣では1人の女店員が浪人に絡まれていた 「何言ってんだ此処の甘味は総て美味い」 「何ぃ!?この俺が嘘をついてるとでも!?」 「いいや、俺はお前の舌が可笑しいんじゃあないかと 心配しているんだ」 その浪人に言い返す者がいた結希だ 「なんだと!!!」 鞘に手をかける浪人 「弱い奴は直ぐに刀に頼ろうとする」 「っ!!」 「ほら図星」 「くそがぁぁ!!!!」 結希に斬りかかる浪人...アホだ 「阿呆」 浪人の首に触れる冷たい物 数秒、浪人の息が止まる 「今すぐ帰れ、そして今後仙閣に近づくな」 結希が一睨みすると 「ひぃ!!」 無様に逃げてゆく 「あ、ありがとうございました」 「俺はただゆっくり甘味を楽しみたかっただけだ」 「あの、御礼に甘味、奢ります」 「止めとけ」 「どうしてですか?」 「俺の注文はこの甘味処総ての甘味だ」 「え?」 「総て、ですか?」 「あぁ」 「凄いですね!」 「そうか?」  「なら私が作った新しい甘味を食べて下さい」 「...あぁ」 「じゃあ作って来ますね」 タタタタ... 行ってしまった 「おんし凄いの~!!」 チャライ、その言葉そのものの様な男がやってきた。 あーどうしてこういう奴に出くわすんだろう。 厄年だ。
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