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「なんで知らんぷりすんの?」
「してないよ。」
「嘘つくなよ。さっきから俺の目一回も見てない。」
恥ずかしさと苛立ちで、私はなにも答えられずにいると、彼は私の目蓋に手を当て、目隠しの状態で話し出した。
「顔見られると言えないから、そのままで聞いて。」
彼のいつもと違う雰囲気と、今まで感じたことのない力強さに、私は戸惑いを隠せずに、身動きできなかった。
私な様子を伺う余裕もない彼はそのまま喋り続けた。
「ミヒロにそんな顔させてんの、俺でしょ?」
私、どんな顔してたんだろう。
「ミヒロには隣にいて欲しいけど、ミヒロのそんな顔は見たくねぇ。」
ズキッ……。
胸が痛んだ。
まるで私が嫌いって言われてるような気がして、彼の言葉の続きを聞くのが怖かった。
「…どうしたらいい?…」
彼は項垂れるように私の上に覆い被さってきた。
彼の重みと熱が、私の頭をショートさせたように熱くした。
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