第1章

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もう目隠しはされてない。 でも、まっすぐ彼を見れない。 無言の私に、彼はこう言った。 「俺は、ミヒロがツラい思いしてんならそれは全部取り除いてやりたいっておもってる。でも、何がそうさせてんのか分かんなかったら、どうしようもないよ。 知らないとこでミヒロが知らない思い抱えて、一人になんのはみたくない。 俺はミヒロがいないと俺じゃなくなるし、ミヒロしか俺の帰る場所は作れないって思ってる。 だから、何でも話して? 俺、一人じゃなんも出来ないよ。」 慰めなのか、励ましなのか。 でも、この瞬間、私のなかに何がが生まれた。 彼に対する今までと違う感情が。 愛しいと思った。 彼の言葉はいつも私の逃げ道と進むべき道、両方を用意してくれる。 私が迷わないよう、自分の弱いとこや足りないところを全部さらけ出して。 私たちは、それまでただの幼馴染みだった。 でも、「愛しい」という感情が私を支配した瞬間から、幼馴染みなんて壁は、アッサリ壊れてしまった。 私は、うなだれる彼をギュッと抱きしめた。 彼は、そのまま私に重さを預け、大事そうに私の頭を大きな両手で包んだ。
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