曇りのち晴れ

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僕は窓際にあるいつもと変わらない自分の席に座った。 背負っていたリュックを下ろし、中から僕にとってはただ単に記号が羅列されている本と、その記号を転記するための道具を取り出す。 とても重い。 それは今日という日がいつもより主要教科が多く、物質的に重いというだけの理由ではない。 すべては曇天のせい。 そう思いながら机の上に肘をつき、その手に顎を乗せ窓の外を横目で覗き込む。 窓越しに見えた空は相変わらず厚い雲が覆っていて、光が差し込む余地などない。 これが重さの原因だ。 はぁ。 無意識的に出る溜息。 ふと思う。 この溜息はどんな成分で構成されているのだろうか。 倦怠感や苛立ち、疲労、睡魔。 正しいのかもしれなければ、もっと別のものかもしれない。 そもそもそこに中身などないのかもしれなかった。 こんなこと考えても分かりっこない。 だってそれは、ただ単に不意に出た溜息。 癖になってるのかもな、と思った。 だとすると、よくないことだ。 この溜息について、今俺が分かっているであろうことはたったのひとつだけ。 つまり、この溜息はよくないものであるということ。 そこまで考えて、ふと思った。 あの幼馴染のツンツン野郎がこんな溜息を吐くことはないのだろう、と。
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