#1 ダブルデート

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比べて私といえば……遅刻ギリギリで登校したせいで 朝から誰と喋る暇もなく、されるがまま 片付けの指示に従って荷物を運ぶ、例えるなら働きアリ。 女王アリ・アサキ様の カン高い声を聞きながらせっせと汗を流す…… 肝心の……ユータとも…… お互いクラスが遠い事もあって 今日はまだ……顔を会わせていない…… あーあ……ユータに会いたいなぁ…… でも……昨日……あんなことがあったから…… 改めて顔を会わせるのも……なんだかとっても……恥ずかしい…… アサキちゃんは朝から何も触れて来なかったから…… たぶんまだ……私たちの事……知らないんだろうな…… なんかちょっと残念…… いやいや、それはそれで…… ちょっと安心した……かな……? そんな風に、荷物を抱えながら ぼーっ……とあれこれ考えていたから 隣にアサキちゃんがいる事も気付かず 声を掛けられた私は、口から心臓が飛び出るほど驚いた! 「……あんた……ホントどうしたの……!?」 ギャ――――――――!! 私の悲鳴は教室中に響き渡り、誰もが驚いて振り返る……! あわわわわ……!どうしよ……! そんなつもりじゃ……なかったんだけど……って、あれ……? オロオロと慌てる私は気が付くと アサキちゃんに手を引かれて 校舎裏にある給水塔の前に立っていた…… ため息をつきながら 髪をかきあげたアサキちゃんが私に問い掛ける…… 「ねぇ……つぼみ……あんた、何かあった?  昨日のカラオケも変だったし……その前だって……  どうしたの……いったい……?」 ……やっぱ……アサキちゃんはすごいや…… 私の考えてる事は……何でも解っちゃう…… そう思うと……なんだか自然に…… 私の胸の内を……アサキちゃんには……伝えられてた…… あんなに……どうしようか……悩んでいたのに…… ……不思議だ……!
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