第1章

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「……いち」 うんざりした顔で、ふぅちゃんが、オレの名前を呼んだ。 「これは?」 「えと…みやげ?」 目の前には、初心者用のグッズと本。 「ちゃんと勉強します。大事にします。だから、させて?」 そう云って、頭を下げたら。 ふぅちゃんは、溜め息ついて立ち上がり、本棚から本を抜いてオレの頭の上に落とした。 「勉強は、当然。お前のことだし、するなら、オレが下かなとは思ってたけどな…」 ばさっと落ちてきた薄い本は、今日オレが買ってきたのと、同じ本で。 「えっ…えええええ?!ふぅちゃん?!」 おろおろと、本とふぅちゃんの顔を見比べれば。 ふぅちゃんは“くっそう”って、顔してた。 「でも、今日はナシ、だな」 「何でっ?!」 「その気になんねぇもん」 「お預け?!また、お預けなの?!」 そう聞くオレに、にやりとふぅちゃんは笑ってこう答えた。 「ちゃんと勉強して、俺をその気にさせてみな」 …………。 道のりは、長そうだ。
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