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見たことのない光景だった。
そこは深い深い森の奥。
ファンタジーの物語に出てきそうな緑豊かで静かな森林。
その中の少し開けた場所に、控えめな木造の小屋があった。
その小屋から1人の女性が出てくる。
腰まで伸びた美しいブロンドヘアーに深緑の瞳。
とても美しい。
その女性は黒いコートを着ており、そしてフードを深くかぶってしまった。
僅かに見える口元が僅かに笑みを作り、女性は森のさらに奥へと消えてしまった。
場面が変わる。
ここは父さんの書斎だ。
父さんの書斎には一度しか入ったことがないから、もしかしたらその時の記憶かもしれない。
とにかく部屋の隅々まで本棚が敷き詰まっていて、その中には沢山の本が飾られていた。
大小は様々だがどれも古く、父にとってそれらは全て価値のある大切なものだったのだろうと窺える。
俺は父さんの背中を見つめていた。
机に向かっていた父さんはゆっくりとこちらに振り返ると、柔らかな笑みで俺を見下ろした。
『歩、お前には──について話しておかなければならない。』
うまく聞き取れない。
『遠くない未来、歩は──と出会い、そしていずれ──なければならないだろう。』
父さんの声は所々くぐもっている。
これは俺の記憶が曖昧だということか。
『歩。お前は『 』となるはずだ。その時が来たら必要なものをこれから見せよう。』
父さんは立ち上がると一番隅にある本棚の中から一際古めかしい本を取り出した。
『今はまだ難しいだろうが……まぁ取り敢えず開いてみなさい。』
そっと差し出されたその本を受け取り、開いた。
そこに書かれていたのは────
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