1226人が本棚に入れています
本棚に追加
とても柔らかくて優しく寝心地が良かった。
ずっとこのまま安らかに眠っていたいと思ったが、まぶたは勝手にゆっくりと開いた。
「歩くん、良かった。心配したのよ。」
透子が俺を見下ろしていた。
その表情は心底安心しているようで、とても心配させてしまったのかと申し訳なくなった。
「透子……俺、は……?」
「しばらく頭を抱えて叫んでいたわ。私の魔法でもあなたの痛みを和らげてあげることはできなくて……
どうしようか途方に暮れていたら、唐突にあなたは静かになったわ。
始めは死んでしまったのかと焦ったけれど、ただ寝ているだけみたいだったから安心したわ。」
透子は優しく俺の頭を撫でた。
「そうか。ごめん、心配かけて。もう大丈夫だ。」
そう言って起き上がろうとして、初めて俺は現状を理解した。
俺はベットで横になっていた。
透子は俺を見下ろしていた。
そして、俺は透子の膝を枕にしていた。
「うっ────!」
「きゃっ!」
俺は慌てて飛び起きた。
それに驚いて透子はひっくり返りそうになる。
「ご、ごめん! 図々しくもずっと膝枕してもらってたなんて……!」
「今更なに言ってるの? 散々好き勝手に人の口を犯しておいて。」
しれっと返してきた透子の言葉で、俺の思考は一瞬にして凍りついた。
そうだ、そうだった。
俺がさっきまで行っていた行為。
彼女を組み倒し、彼女が苦しむ表情を楽しみながら、俺は彼女を内側から支配しようとした。
思い出した途端激しい自己嫌悪に襲われた。
俺はただ自分の都合で、自分の欲求だけで彼女を我が物にせんと、彼女の意思を無視した一方的な蹂躙を行ったんだ。
それは決して許されるような行為ではないはずだ。
最初のコメントを投稿しよう!