第一章 神宮透子のラプソディ

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とても柔らかくて優しく寝心地が良かった。 ずっとこのまま安らかに眠っていたいと思ったが、まぶたは勝手にゆっくりと開いた。 「歩くん、良かった。心配したのよ。」 透子が俺を見下ろしていた。 その表情は心底安心しているようで、とても心配させてしまったのかと申し訳なくなった。 「透子……俺、は……?」 「しばらく頭を抱えて叫んでいたわ。私の魔法でもあなたの痛みを和らげてあげることはできなくて…… どうしようか途方に暮れていたら、唐突にあなたは静かになったわ。 始めは死んでしまったのかと焦ったけれど、ただ寝ているだけみたいだったから安心したわ。」 透子は優しく俺の頭を撫でた。 「そうか。ごめん、心配かけて。もう大丈夫だ。」 そう言って起き上がろうとして、初めて俺は現状を理解した。 俺はベットで横になっていた。 透子は俺を見下ろしていた。 そして、俺は透子の膝を枕にしていた。 「うっ────!」 「きゃっ!」 俺は慌てて飛び起きた。 それに驚いて透子はひっくり返りそうになる。 「ご、ごめん! 図々しくもずっと膝枕してもらってたなんて……!」 「今更なに言ってるの? 散々好き勝手に人の口を犯しておいて。」 しれっと返してきた透子の言葉で、俺の思考は一瞬にして凍りついた。 そうだ、そうだった。 俺がさっきまで行っていた行為。 彼女を組み倒し、彼女が苦しむ表情を楽しみながら、俺は彼女を内側から支配しようとした。 思い出した途端激しい自己嫌悪に襲われた。 俺はただ自分の都合で、自分の欲求だけで彼女を我が物にせんと、彼女の意思を無視した一方的な蹂躙を行ったんだ。 それは決して許されるような行為ではないはずだ。
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