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「ごめん! 本当にごめん!
俺、自分でも何が何だかわからなかったんだけど、それでも俺は君を苦しめて────」
「あなたが気に病むような事ではないわ。」
透子は俺の言葉を遮って言った。
その言葉には嘘偽りは感じられず、また俺への気遣いもなかった。
透子は本当にそう思っていた。
「あなたは当然のことをしたのよ。言ったでしょう? 私はあなたに全てを捧げているの。
私はあなたのものなのだから、私に対してあなたが何をしようとそれは全て正当な行為よ。」
「でも、それじゃあ……」
さっきのような蹂躙も、また正しいということになってしまう。
相手の尊厳を無視した一方的な欲求の発散すらも。
「これも言ったでしょ? あなたには人の身を手に入れる悦びを知ってもらうって。これはそういうことよ。
本来自分のものではない他人の肉体を手に入れるということは、人間の根源的な支配欲を満たす。それは心も同じこと。
あなたは私の肉体を犯し、心を屈服させることで言い知れぬ満足感に見舞われたんじゃない?」
「────っ!!」
透子の言うことはもっともだった。
俺は彼女の心を、身体を組み倒し、屈服させ、蹂躙し、支配することで、今まで感じたことのない悦びを覚えていた。
しかし、それは────
「それこそが人の身を得る悦び。誰しもが必ず持つ支配欲よ。
私はあなたのもの。私はあなたに支配されたい。私はあなたに犯されたい。私はあなたに蹂躙されたい。
私は、私の全てをあなたに奪われなす術もなくあなたに屈服し、あなたの好きに、肉の塊のように扱われたい。」
言葉を失った。
俺は今まで彼女の言葉の意味を全く分かってはいなかった。
透子が今まで言っていたことはこういうことだったんだ。
これは普通じゃない。異常なことだ。
理解し難い。
なのに何故だろう。
心のどこかで、透子のその要求、想いが嬉しく思えてしまっている気がした。
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